債権回収は企業経営において重要な課題のひとつです。ここでは、債権回収で分割払いに応じるメリットや注意点などを紹介します。
期限までに支払いをしない債務者の中には、経済状況がひっ迫していて返済したくてもできない場合もあります。一括で要求してもないものは払えません。債務者の経済状況に応じた返済計画を立てるなどすることにより、全額回収の可能性が高まるでしょう。
また、相手の状況を考慮した対応は債権者と債務者の関係を良くし、将来的な取引継続にもつながる可能性があります。裁判など紛争の回避でき、コストや時間の節約にもなります。
転職や家族構成の変化などさまざまな原因により、相手の支払能力が低下する可能性があります。分割払いに応じる場合は、相手の財産状況や支払いの見通しを十分確認することが大切です。支払い期間をあまりに長期にすると、支払い意思の低下リスクもあるので気を付けましょう。
また、分割払いの条件は必ず書面で取り交わすことが大切です。口頭の約束だけでは、後々トラブルの原因になりかねません。不払いがあったときに対応できるように強制執行できる公正証書などを作成しておきましょう。
時効の管理も必要です。消滅時効とは、一定期間内に債権を行使しない場合債務者の時効援用によって消滅する制度で、期間は最後に返済があったときから原則5年となっています。債権を保全するため、債務者による債務承認や裁判上の請求などで時効を更新するようにしましょう。
分割払いによる管理は煩雑化していて、取引先ごとに購入日や入金が異なったり入金が分割で行われたりするとミスが起きやすくなります。複数拠点がある企業の場合、債権情報の集計や精査、加工に手間がかかり非効率です。
債権管理システムを導入することで、引先の債権情報を一元化できます。分割払いにも対応しやすくなり、人的ミスの防止が期待できます。また、データ入力や消込作業を自動化することで業務効率化にもつながるでしょう。
期限の利益とは、返済期日までに支払わなくてもよいという債務者側の利益のこと。期限の利益喪失条項とは、債務者がきちんと支払いをしない場合、期限の利益を喪失して一括請求となる旨を書面で定めておくことをいいます。
また、支払いが遅れた場合には遅延損害金が加算されることを定めることも有効です。
もし分割払いの支払いが遅れた場合は連帯保証人にも請求できるよう、連帯保証人を確保しておくとよいでしょう。連帯保証人は主債務者が返済ができなくなった場合、代わりに返済する責任を負います。
なお、2020年4月民法改正によって一部の連帯保証については極度額の設定が義務付けられましたが、通常債権回収の場面で作成する分割払いの合意書では、連帯保証人の極限額を設定する必要はありません。
合意管轄条項とは、契約上の紛争が生じた場合に、その紛争に関する裁判手続をどこの裁判所で行うかをあらかじめ決めておくための契約条項です。合意管轄条項は、必ずしも契約書に記載する必要はありません。
ただし、支払いが遅れた場合裁判になる可能性があります。こちらに便利な裁判所でできるよう合意管轄の条項を付けておくと安心でしょう。なお、合意管轄を決められるのは第一審のみです。
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